食用コオロギを販売する「グリラス」が2023年12月に破産手続きを開始しました。
コオロギの養殖事業が採算にのらなかったため、破産手続きを開始したとされています。
負債額は関連2社と合計で2億4290万円に上ります12。
食用コオロギの養殖事業が破産した理由はいくつかありますが、以下にその説明をさせていただきます。
1. 消費者の理解不足
食用コオロギは日本ではまだ馴染みのない食材であり、多くの消費者が抵抗感を抱いていました。安全性や味、調理方法などに関する情報も不足しており、購入に踏み切れない人が多かったと考えられます。
2. 販路の開拓
食用コオロギは、まだ販売できる場所が限られていました。
一部のスーパーやネットショップで販売されていたものの、多くの人が購入できる環境ではなかったのです。
3. コストの問題
食用コオロギは、養殖にコストがかかるため、販売価格が高くなっていました。
そのため、価格に敏感な消費者は購入を躊躇してしまう傾向がありました。
4. 競争の激化
近年、食用コオロギを販売する企業が参入していました。競争が激化する中で、グリラスは十分な収益を上げることができなかったと考えられます。
5. 資金繰りの悪化
これらの理由により、グリラスは資金繰りが悪化し、破産手続きを開始せざるを得なくなったと考えられます。
6.飼育自体の難しさ
コオロギの飼育は気候に左右され、原料の高騰も影響していました。
餌となる原料の価格が上昇し、コオロギの飼育自体が不振に陥ったことが閉鎖理由とされています。
今後の食用コオロギ市場
食用コオロギ市場は、まだ発展途上です。今後、消費者の理解が進み、販路が拡大すれば、市場が拡大する可能性はあるでしょう。
しかし、現状では、食用コオロギが広く普及するには多くの課題があります。
最後に、コオロギ食について説明させていただきます。
現在、日本ではいちばん多く出回っている昆虫食が、コオロギです。
コオロギは雑食性で、餌の選択肢が広く、穀物や野菜くずなどの有機廃棄物を食べることができます。
また、養殖しているコオロギは熱帯原産で、室温30℃ぐらいを保てば通年飼育が可能だそうです。
発育期間も約1.5か月と短く、サイズも大きいため、昆虫食として選ばれています。
しかし、コオロギに限らず昆虫は甲殻類アレルギーを引き起こすアレルゲンのトロポミオシンというタンパク質を持っています。
エビやカニでアレルギーを発症する人は、コオロギなどの昆虫類を食べないほうが良いでしょう。
一方で、コオロギは次世代のサーキュラーフード(循環型食品)として期待されています。
雑食性で何でも食べるため、食品残渣をエサにすることで食品ロスの低減に貢献できます。
また、コオロギの生育過程で出た排泄物は植物の肥料にもなるようです。
昆虫食は、持続可能な食品供給に向けて注目されている分野であり、コオロギもその一環として注目されています。
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