2/13の閣議後記者会見で、小泉龍司法相はデジタル技術を活用して本人が遺言を作成できるようにする民法の見直しについて、15日に法制審議会(法相の諮問機関)に諮問する旨明らかにしました。
現行は、遺言の全文を自書する必要がありますが、デジタル化によって遺言をする高齢者の負担を軽減し、相続トラブルの防止につなげる狙いがあるとしています。
小泉法相は「国民にとってより利用しやすいものにする必要がある」と述べました。
従来の紙の遺言書に加え、近年ではデジタル技術を活用した遺言書の作成・保管が注目されています。
【デジタル遺言書のメリット】
検索性・利便性の向上:従来の紙の遺言書と比べて、必要な情報を素早く検索できる点がメリットです。
紛失・改ざんリスクの低減:デジタルデータとして保存するため、紛失や改ざんのリスクを抑えることができます。
遠隔地からの作成・管理:インターネット環境があれば、場所や時間に制限なく作成・管理できます。
コスト削減:紙代や保管費用などのコストを削減できます。
【デジタル遺言書のデメリット】
法整備の未成熟:日本では、デジタル遺言書の法的効力に関する明確な規定がまだありません。
セキュリティ対策の必要性:デジタルデータであるため、情報漏洩などのリスク対策が必要です。
高齢者やITに不慣れな人へのハードル:デジタル技術への理解や操作スキルが必要となるため、高齢者やITに不慣れな人にとっては利用が難しい場合があります。
なお、現行ではデジタル遺言書は認められていませんが、「自筆証書遺言保管制度」を利用すればワープロで書いた遺言書も認められます。
ただし、以下の点に注意する必要があります。
1. すべてのページに署名・捺印が必要
ワープロで作成した遺言書は、すべてのページに遺言者本人が署名・捺印する必要があります。署名・捺印がないページがあると、そのページは無効となります。
2. 改ざん防止措置が必要
ワープロで作成した遺言書は、改ざんされやすいというリスクがあります。改ざん防止のため、以下の措置を講じることが推奨されます。
ファイル形式をPDFに変換し、パスワードを設定する。
タイムスタンプを付与する。
電子署名を付与する。
3. 法務局での確認
法務局では、遺言書の形式及び日付のみを確認します。遺言書の内容については確認しません。そのため、ワープロで作成した遺言書の内容に誤りがあると、遺言として無効になる可能性があります。
コメント